エピローグ
そして人形の仮面の中に閉じ込められていた、本当の琥珀の姿は、志貴を、そして遠野家と言うものを仮初の 「……ありがとう」 志貴の口から、そんな言葉が漏れ出した。 と、自らの肩に何かが当たる感触に気付いた志貴は、そちらに視線を向け――その口元をほころばせた。 何時の間にか寝息を立てていた秋葉が、彼の肩にもたれ掛かってきていたのだ。 その様を目にした他の乗客から向けられる、少しの羨望が篭った温かい視線に、志貴は苦笑を浮かべる。照 「なんか、妙に絵になってるなぁ」 そんな変な感想を漏らす志貴。 「ん……んん……」 それに答えるかのように、秋葉の口から意味をなさない呟きが漏れ、うっすらと目が開けられていく。 「あ、あの……その、ごめんなさい兄さん!」 やんわりと掛けられた兄の言葉も、今の秋葉には恥ずかしさを引き起こすものでしかなかったようだ。 「本当にごめんなさい。なんか、ついうとうとと……恥ずかしかったでしょうに」 「いいさ。こんなに気持ち良さそうに寝てるのに、起こしたら悪いしな。 そう言って微笑を浮かべながら二人を指し示す志貴に、秋葉の目じりも下がった。 「……私も人の事は言えないけど、兄さんの所を放って置いて寝てしまうだなんて。 そう言う秋葉の顔が、ふと心配そうな表情に変わる。 「兄さんは大丈夫ですか? 駆け足の旅になってしまいましたし、きっとお疲れだと思うのですけど」 妹の気遣いに、志貴は慌てて首を振った。 「大丈夫だよ秋葉。疲れなんか感じないくらい楽しかったから。 そう、噛み締めるように言う志貴。 「秋葉達が来てくれなければ、こんな思いはきっと出来なかっただろうから。だから、礼を言わせてくれ。 そのまま自分を見つめてくる兄の視線に再び頬を赤らめた秋葉は、ついとそっぽを向くとそのまま早口でまく 「お礼なんて言われるような事はしてません。楽しんだのは私も一緒なんですから」 秋葉はその言葉に根負けしたように、ふぅ、と溜息をつき、志貴に向き直った。 「いえ、私の方こそ、本当に楽しかったですよ、兄さん」 ふわりと、温かく微笑む。ただ、そこで終わらないのがやはり秋葉というべきなのか。その顔をきゅっと引き締め、 「もちろん、屋敷に戻ったらまたビシビシとしごかせてもらいますからね? 試験までさほど時間の無いのは事実 そんな妹の行動に志貴は苦笑を浮かべた。 「アルクェイド達は今ごろどうしてるかな」 ちょっと不満そうに言う秋葉に、志貴はゆっくりと首を横に振り、 「それも無いと言ったら嘘になるけどさ。早く話をしてやりたいなって思ったんだ、この三日間の事を。 その言葉に納得したように頷いた秋葉。その顔が真面目な物に変わる。 「兄さん」 凛として、志貴に言い聞かせるようにそう言う秋葉。 「――ああ。出来るう限り、俺は頑張るよ」 深く、迷いなくそう頷く志貴。満足そうに、こちらも頷く秋葉。 「兄さん! 外、見てみてください」 秋葉の視線を追った志貴も、思わず感嘆の声を上げた。 「別れの挨拶、なんでしょうね。あの人の」 ややあって、名残惜しげに呟いた秋葉に、志貴は頷いた。 「素敵なお土産、持たせられちゃったな」 その顔を華やかせ、うっとりとその景色を見つめている秋葉。ふと志貴が気付けば、琥珀と翡翠もまどろみから
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| 後書き。 最初に、ここまで読んでくださった皆様に心から、感謝とお礼を言わせてください。 最初にこの「雪月華」を書き始めたのは、確か九月の頭頃。その頃は自分のHP この話を書き始めたきっかけなのですが、「月下舞踏」「訪問者」と書いてきて、 しかし四季(ロア)は学校で完膚なきまでに死の点突かれて死んでしまっている。 でもその時点では紅葉は完全に悪役の予定でした。 救いの面をより強調しすぎて、話としては随分とまとまりが悪くなってしまったかも
それでは、また次の作品でお会いしましょう。
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