タンタロスの獄
――――ふと、目を覚ます。
アルクェイドが、朱い月と並んで俺を見ていた。
なんでさ。
――――いや、違う。
よく、わからない。
じゃらじゃらと金属音。俺は、鎖で大の字に拘束されて、おまけに裸だった。下着も着けていない、まったくの全裸だ。その素肌に鎖が絡み付いて冷たい。手首とか肘とかその他あちこち、輪を嵌められている。わずかに身じろぐのがやっと。
「あのー、アルクェイドさん?」
もう、いきなり無条件降伏。いや、どうか出来るとは思えないし。
「起きたか、浮気者め」
朱い月が先に返事をした。
「うふふ」
アルクェイドは、笑うだけ。
いつも通り紺色のスカートと白いサマーセーターのアルクェイド。こちらもいつも通り、白と青のドレスを着た朱い月。ゆったりとソファに腰掛けている。吸血鬼だったりすることやら名前やらに反して太陽のような二人の美貌は、どちらが鏡像かと思うばかりにそっくりだ。
当人なのだから当然だけれど。
なら、何故一緒に並んでいらっしゃるのか。当然の帰結には、すぐに至る。もう慣れたとでもいうのか。
「……夢、だな?」
そうでなくても、朱い月には夢でしか会わないし。
「うん」
「うむ」
平然と肯定された。
「共通の敵に対向するためには、同盟する方が良いかなって」
「そういうことだ。いずれ勝敗は決しなければならぬにせよ、先に済ませておいた方がよさそうなことを見つけてな」
事態はまだ読めないけど、ともかくも二人が互いに剣呑な様子でないことは、救い。この二人が喧嘩しちゃ、世界の危機だ。
こうやってみれば、そっくりだけど違いもはっきりしている。髪の長さとか服装とかは、むしろ些細な問題だろう。何を考えているのか読めないのは同じ、でもアルクェイドは企みごとのあるのを隠そうともしていないし、朱い月は笑いを零しつつも澄ましている。親しみを覚えるのがアルクェイドなのは当然にせよ、朱い月の人を畏怖させる光背も今は歓迎ムード。
四つの目にじーっと見られて、裸なのを意識して頬が熱くなる。ついでに、あらぬことを期待してしまったりする。夢で朱い月に会ったときは、ややこしい事態になることが多いのだし。あの手のややこしい行為なら大歓迎で、そこにアルクェイドも居るというのはきっとバライソ……。
いやいやいやいや、流石にそれはどうなのか、健全なる少年よ。君は君が正しいと思うことをしているのか?
自戒しながらも、朱い月の胸に目が行く。バストの大きさや形にしても瓜二つというか桃四つとでもいうかだけど、ドレスは両肩を出して胸元の開いたデザイン。視線誘導技術にやられてそっちに惹かれてしまうのは不可抗力というもの。それが健全な少年の正しい反応だ。
いやいやいや。だめだ、体の何処かが反応してる。裸なんだ、すぐバレる。
「そ、それで、共通の敵って、何者なんだ?」
慌てて尋ねる。二人、目配せし合って、それぞれに笑う。笑っているのに、ライオンに挟まれた鹿か何かの気分にさせられる。
「判らない?」
「知れたことであろう?」
へえ?
戸惑っていると、ほとんど同時に答えがあった。
「志貴よ」
「おぬしだ」
はい?
合点がいかず、問い返した。
「初めに言ったであろう? この浮気者め、と」
「夢でこんなのと遊んでたなんてっ」
いえ、それは、その。
「だから、志貴にお仕置きするの」
「おぬしに仕返しを、ということだな」
「いや、仕返しってっ」
冷や汗をかく。まずは落ち着いてよく考える、そんなことは許されず、ともかく口を開いた。
「いえ、その、わたくしとしましては、常日頃からお二人ともアルクェイド様であると考えていた訳でございまして……」
取り憑かれたみたいに喋っていた。
「……それ故に、このことが浮気にあたるとの考えには思い至ることがなく、斯様な見解の相違の解消のためには前向きに善処させて頂きたいと思料するところではありますが、なにぶん、現状のわたくしの置かれております立場と申しますのは腰を落ち着けた対話の可能な状況とは考えがたいものでございまして……」
「志貴?」
「落ち着け、人間」
「はいっ」
……何処かの代議士の亡霊か何かは、一瞬で祓われたみたい。
二人とも近づいてきて、俺の耳にそれぞれ口を寄せる。ふーっと両側から息を掛けられて、やっぱり体の何処かがびくりと。
「おぬしを損ねてしまっては本末転倒というものであるからな」
「うん。それで、良い方法を思いついたの。もっと楽しいことを、ね?」
そっくりだけとやっぱり違うそれぞれの声が、耳で溶けて流れ込む。唇が触れるか触れないか、くすぐったくて背筋がびくびくする。
これは……その、ひょっとして?
脚の間で我が息子が背伸びを始めている。
「どんな方法だと思う?」
いやー、それはー、いわゆる一つの……。
「何か妙なことを想像しておるだろう、おぬし」
耳の穴から頭蓋を満たしていく声は、蜂蜜かメイプルシロップか。そりゃ、この状況で、ややこしいことをちょっとばかり期待してしまっても健康な十代の少年としては無理からぬコトであると思料致しますところでありまして……。
「まずは、キスしよっか」
「そうだな。やはり、そこからだろう」
言うと、至近距離で比類無きはずの美神が並んだ。目を閉じて、口付ける前から恍惚とした表情。顔以外は視界に入らず、それでも区別は付けられる。唇を迎えに行こうと思いながら、俺の方からどちらを先にするのも恐ろしくて、動きを待つことにする。
間もなく、唇が触れ合った。
目の前、数センチのところで、アルクェイドと朱い月とが口付けた。軽くキスを交わしてから、改めて今度は熱く重ねる。舌を出して唇を舐め、ついばみ合い、舌が絡んでダンスしてる。
ちゅ、ちゅぷっ……。
当惑する俺を捨て置いて、噛み付くような激しいキスを続けている。頬が赤らんでいき、熱さまで感じるほど。
「……あのー……」
俺のことは、まるで放置されている。いや、目線だけ向けられた。幾度も接吻を交わしながら、ちらちらと俺の方を見ている。流し目を送られている。しっかりキスが気持ち良いのか、目付きはとろけている。見ている俺が息苦しくなるほど長く激しく吸い合って、離れる時には唾が糸を引いていた。整える息だけ俺に向けて吹き付ける。
「ずいぶんと巧みであるな、口付けるのが」
「こんなに上手くなるほど志貴とキスしたのね」
頬を染めたまま睨み合っている。唇が濡れて輝いていた。
「あのー……」
おずおずと、もういちど声を掛けたら、初めて気付いたみたいに俺を見る。
「志貴、どうかした?」
「何か、あてが外れたとでも言う顔をしておるな?」
見詰められて、耐えられず口を開く。
「えっと、何をなさっているんでしょうか」
豹と蛇が笑った。
「浮気のお仕置きって言ったじゃない」
「おぬしへの仕返しと言ったぞ?」
それって、つまり……っ!
何も言う間もなく、二人はまた口付ける。たっぷり舌を絡めているのが見て取れる。アルクェイドとキスするのがどれだけ気持ち良いか、朱い月と口付けるのがどれほどの官能か、知ってるだけ尚更生殺し。
「いや、ごめん、それは許してっ」
また糸を引きつつ離れ、二人とも喉を鳴らす。つられて、俺も自分の涎を飲み込んだ。
「駄目」
アルクェイドが、にっこり笑って死刑宣告。
鬼ーっ。
「おぬし、この身にも何度も言わせたよな、そのようなことを」
朱い月も、別意見は聞かせてくれない。確かに、舐めて欲しいとか触って欲しいとか入れて欲しいとか動いて欲しいとか色々口に出させてるけど、あれはあれで気持ち良いからで……。
アルクェイドが朱い月の頬に手を当てると、朱い月も同じことを返す。くすぐったそうにしながら二つの手が滑り降りていく。目で追ったら、アルクェイドの手が朱い月の胸に至り、ふくらみをぐっと持ち上げる。やわらかな肉の動きが見えている。少し遅れて朱い月の手も白いセーターの上から揉み始める。
ごくり。
何度も堪能してきた仙果だけに、至福の味わいを思い出して涎が湧く。臍の下では俺のものが屹立している。アルクェイドの手がドレスをめくり下ろし、あっさり朱い月の胸が露わになる。
「裂くぞ、構わんだろう?」
うん、って返事を待つまでもなく、朱い月はセーターを首元から下に切り開いた。黒いブラジャーと肌が覗き、すぐに包装を破られて、アルクェイドのおっぱいもまた晒される。
「おっぱい好きよねえ、志貴?」
ほんとに、天上の美味と知っている水蜜桃が四つ実っている。
「はい、大好きですっ」
触りたい。キスしたい。舐めたいっ。顔を埋めたいっ! 溺れたいっ!!
だから、お慈悲をっ。
「うむ、その正直と素直に報いてやろう」
言うが早いか、鎖が緩んで頭の位置が下がった。相変わらず動けないけど、ちょうど目の前に二人の胸が来る。白い肌が少し上気していて、その体温を感じるほどの至近距離まで寄せてくる。桜色の乳首がそれぞれ一つずつ、思わず舌を伸ばすけど届かない。
「特等席でしょ?」
それはもう、こんな素晴らしい眺めもないけれど……これって、あんまり幸せじゃないようなっ。
「ふふふ……」
目の前で抱き合うから、体に挟まれた美果がそれぞれふにゅって潰れる。そのまま二人とも体をこちらに向けると、奥側のだけ押し合ってる。やっぱり、乳首同士が突き合ってる。
また涎を落としかけた。
再び、互いの手がそれぞれ俺の側の膨らみを包んだ。ゆっくりと形を撫で、少しずつ力が入り、柔らかいのと弾力とが絶妙にブレンドした肉の塊を変形させる。ほっぺたに触れそうな位置で。
肌を撫でる衣擦れに似た音。指に感じられそうなほど知っていながら飽き足らない手触り、欲して掌が疼いている。
「んっ……」
不意に乱暴な揉み方が混じって、白い肌に薄赤く跡が刻まれる。仕返しがあって、またやり返して、紅い斑が描かれる。
ちゅ、ぺちゅ、って音で、またキスしてるのが判る。俺は涎を飲む。
汗が浮き始めて、おっぱいは艶を増す。匂いとまで行かない官能に鼻孔がくすぐられ、今度は喉が渇く。
朱い月が乳首のすぐ外を摘み、アルクェイドも倣う。どちらも、少し勃起している。
「ほら、触って欲しい?」
「おぬしこそ、どうなのだ?」
くるくると爪の先で周囲を辿り、焦らしている。力強く揉みしだいて、乳首同士をつつき合わせる格好。でも、そのフリをするだけ。また周りを擽ってみせる。直接の刺激は無いまま、次第に尖っていくのが見える。いつも俺がするみたいな意地悪の仕方、遠回しの復讐。
「触って……」
何故か、俺が言ってた。でも、アルクェイドが当然のように言う。
「うふふ、何を触って欲しいの?」
「乳首っ」
即答すると、また訊かれる。
「誰のだ?」
「アルクェイドと朱い月の!」
「えっちね、志貴?」
「はいっ!」
脊髄反射で返してる。
「良いよ」
途端に、それぞれの乳首が摘まれ、転がされ、擽られ。
「んふンッ……」
「ぁんっ!」
みるみる、尖って行った。今度はポーズだけじゃなく、乳首を擦り付け合ったりしている。
二人は気持ちよさそうだけど、俺は煽られるだけ。舌を出したら舐められそうで、やっぱり絶妙に届かない。熱い息だけ、俺の方に掛けられる。
勃起しすぎてて、イチモツが痛い。
「ふふ……」
不意に朱い月が体を離し、代わりに両手をアルクェイドの胸に添え、内側に寄せる。アルクェイドは、自分の手を乳房の間に差し入れて挟む。その立てた指を、朱い月が口に含んだ。
「あうっ……」
どう見たって、あれはパイズリとフェラの真似。アルクェイドに挟んで貰う感触を追想し、先っぽを舐めて貰う快感を反芻し、更には喉の奥まで受け容れてくれる快感を思い出し、体中が渇する。アルクェイドに挟まれて、その先っぽを朱い月に舐められて、なんて妄想する。
間違い無く、それを誘ってる。
「んっ……志貴ぃ……」
乳首を弄られて嬌声を上げつつ、アルクェイドは手を上下させる。朱い月は胸を揉みながら、熱心に指をしゃぶっている。自分は胸の谷間に顔を埋める格好で、だから、顔とイチモツをどっちも挟んで貰う感触を想像し、それが今なら実現可能なのに気付く。でも可能なだけで、させてはくれない。
「がぅ、がぅ、がるるっ」
ガチャガチャと鎖を揺するけど、無駄な抵抗。何度引いたって無駄。二人に手を伸ばすのは無論のこと、自分でするとかも無理。焦らしたらアルクェイドもするみたいな、脚を擦り合わせるとかさえ不可。
「さっき、俺のちんちん、とか言えば触ってあげたのにね?」
「うむ、立場をわきまえたようだな」
「うわ、そんなっ! 言うからっ!」
「もう遅い」
「だーっ、降参するから止めて、こんなのっ」
鬼めっ。
悪魔めっ。
刺激を求めて、息子はむせび泣いていた。
「駄目ーっ」
今度は、尖りきった乳首を唇で覆っている。まだ直接のキスはせず、ちろちろ、また周りを焦らすように舐めて、アルクェイドに身を捩る催促をさせているみたい。
「意地悪、舐めて……」
恥ずかしそうなアルクェイドの声。
「ふふ、何をだ?」
まるで俺みたいな焦らしっぷりだ。
「あん……乳首、舐めてっ」
かぷ、と口を付けてる。
「あっ、んふっんっ」
とうとう舌が先端に触れたらしく、アルクェイドは甘い悲鳴を発した。ぺろぺろと舌を使い、吸い付いては乳首を唾で光らせる。丘いちめんにキスして印を付けていく。舌先に肌と乳首の味が浮ぶけど、掻痒感ばかり高まるだけ。向う側に口が移って愛撫を手が引き継ぎ、摘み上げて先っぽを転がして。そこに顔を寄せられるけど、やっぱり触れられなくて、せめて息を吹き付けてやる。
「んっ……交代っ」
アルクェイドが言うと、朱い月は素直に身を引いた。
「交代って言うか」
ちら、と俺を見て笑う。
「せっかく二人いるんだから、四つ楽しみたいよね、志貴?」
言い終わらないうちに鎖に操られ、今度は手を下ろして大の字から人の字になって仰向けにされた。
顔の上で、左右から二人が身を乗り出す。目の前には、確かにおっぱいが四つ揺れている。やっぱり、手を出させてはくれない。
ごくんっ。
大きな桃みたいなのが、微塵も重力に負けず張り詰めてる。また互いに揉み始めて、押し潰されてくっついてる。このまま、あと五センチほども下がってくれたら至福の時が得られるのに、それはきっと実現しない。
うわ……。
手が間に割込んで、二人の乳房でサンドイッチされる。ああ、あの手に代えて貰えるなら切られても良いっ。
遠慮無しに相手の丘の形を変え、ぐにぐにと押し潰し、擦れたりくっついたり離れたりするたびに汗で濡れた音を立てる。たまに飛沫が跳ねて、たぶん顔にかかっているけど流石に判らなくて、酷く惜しい。でも考えただけでも更に息子が暴れたがる。
いや、俺自身が泣きたい。泣きそう。
さっきよりペニスに手は近いけど、届かないのに変わりは無い。自分で慰めるのも許されてない。
さっきと同じパイズリの真似を、今度は朱い月の胸でしはじめる。ぎゅっと寄せて並んだ乳首をアルクェイドが一緒に嘗め回す。そのアルクェイドのおっぱいは、俺の頬を紙一重で触れずにぷるぷるしてる。肌の匂いは判って、でも余計に滾るだけ。頭に血が上って、血の残りはイチモツに集まってる。
「ぐるるるるっ」
餓えた獣だ。頭が欲情でいっぱい。涎が零れるのに喉は涸れてる。肌が恋しくて焦がれ死にそう。
「志貴、あんなにしてるよ」
「触れもしておらんのにな」
ペニスの方を見てるみたい。
「ねえ、あっちにも?」
「して欲しいか? 人間」
「はいっ」
訊かれて、何のことか確かめもせずに即答した。
「よし、叶えてやろうな」
「うん、してあげるね?」
ああ、神様仏様。
顔の上から、四つのおっぱいは離れていった。
「元気ねえ、志貴……」
腰の方で声がして、見れば、アルクェイドがそそり立った男根に顔を寄せていた。
「少し露を垂らしておるな」
朱い月が、穂先に鼻を近付けて嗅いでいる。
二人とも、頬を真っ赤にして、潤んだ眼で俺と息子とを交互に見詰めてる。
はーっ、と朱い月が息を吐いたら、それがペニスに暖かくて、さっきから燃えるように熱いのに融けそう。
ふーっ、とアルクェイドには吹きかけられた。
「ひゃうぁっ?」
また、たったそれだけの感触が脳天まで貫く喜悦。
それぞれ、根本あたりに唇を寄せ、あと一ミリってとこで触れてくれない。息で擽られ、体温で炙られるばかり。
腰を左右に揺すって当てようとするけど、石化したみたいに固定されてる。塔の基部から天辺まで、間違って触れさえせずにギリギリで登り、屋根に至っては舌を伸ばして舐める真似までする。
ペニスのすぐ上で、口付ける。ちゅぱちゅぱと音を立て、唾の橋が架かり、崩れて亀頭に垂れる。ふたりしてフーフーされて、それは気持ち良いけどムズ痒くて悶絶。見なければこんなに苦しまないのに、とは思っても眼を離せない。また根本から舐める真似をされて、貧血みたいにクラクラしつつ、やっぱり気絶はできない。
更には、指で包んで扱くフリとか。
「舐めて欲しい?」
女神の恵みのような問いに、是非もなく答える。
「うんっ」
「ふふ……」
両側から、雁首に唇が迫り、舌が延び、
「ふふふっ」
ひょいと避けて、ペニスの向うで自分たちの指先を舐めた。
「があぁっ!」
ひどい。それはひどい。ひどすぎる。
一人泣く俺に構わず、女達は指先をしゃぶり続ける。二人掛かりでフェラとか、考えるだけで逝け……るんだったらこんなに苦しまないっ。
「何でも従うから許してっ」
輪を掛けられた手足はきっと痣だらけだ。
「拷問しているわけではないのだぞ? 人間」
指しゃぶりとフェラの真似との合間に、朱い月が言う。アルクェイドは、大口を開けて穂先からイチモツを包みながら、それだけで口に触れさせてくれない。
「そうよ、今さら志貴に訊くことは無いし。これは罰だもの、勤め上げる以外に道は無しっ!」
「ぐるるるる……」
力なく、崩れる。でもイチモツはビンビンのまま。破裂しそうなぐらい。
「頼む、お願い、何か、して……」
神様仏様アルクェイド様朱い月様。
「ふむ、何をして欲しいのだ?」
良いながら、朱い月は自分の胸を持ち上げている。罠だと思いながら、甘んじて陥る他に無し。
「胸で……」
「じゃ、胸でしてあげる」
二人、それぞれ自分の胸に手を添えて、左右からゆっくりと竿に迫る。
想像して、身構える。一人で挟んで貰うのだって、天国気分。それが、二人同時に四つのおっぱいで扱かれるのって、どんな感触だろう。どこをとっても極上の肌も、バストでは殊更に極まっている。滑らかさ、肌理こまかさ、潤い、張り、温もり。ぽよんぽよんで柔らかくて弾んで、ねっとり絡み付くみたいで。その膨らみの間にペニスを埋めて、腰を振って抜き差しする。トンネルを抜けた向うで、先の部分は口に……。
思い描いて猛るうち、女神二人は体をくっつけた。当然、胸も押し付け合ってる。
なのに、イチモツには何も触れてない。
あれ?
そのまま、体を上下に揺らす。四つの仙果にマッサージされるはずの男根には、何の刺激もない。
「えへへー」
アルクェイドが満面の笑みを見せる。
「いぢめっ子だな、おぬしも」
鬼!
悪魔!
吸血鬼!
二人の女怪は、添えた手で胸の谷間を広げて隙間を作っていた。
そのまま、体を揺すり続ける。先の方を舐めるフリも続けてる。見た目には二人でパイズリ&フェラなんて天国、その実、酸鼻を極める焦燥地獄。
「まだ逝かんのか?」
「逝けるかよっ!」
荒んで、叫ぶ。
「ふふふ、私たちの胸なんて気持ち良くないって」
「そうか、ならばこれ以上、煩わせまい」
いや、違う、お二人の胸は唇は指は手は、楽園の案内人で……。
「勝手に楽しませて貰うとするかな」
「うん、せっかく大サービスで望み通りにしてあげたのにね?」
「いや、ごめんっ、そうじゃないっ……」
いくら叫んでも届かない。地獄に仏は現われない。
二人は離れる。飢えを掻き立てられるばかりでも無くなるのは名残惜しい。だけどすぐ、別の責め苦が始まる。
スカートを脱いだアルクェイドが顔の上に跨り、目の前にはアルクェイドの大事なトコ。黒のガーターストッキングとショーツが残っているけど、その布地は濡れて、半ば透けてる。そこへ、鏡に映したみたいに朱い月も跨ってくる。ただ、下着は白だった。どっちも、紐で結ぶようなやつ。
二人はお腹を押し付け合うまでくっついている。思い切り脚を広げていて、まさに目と鼻の先に性器がある。目の正月で目の猛毒。濡らしているだけに、牝の匂いがして猛烈に滾る。鼻にも毒だ。
「がぅ、がぅっ、がぅっ!」
毒に頭が侵されて、意味のあることが言えない。間違えたように頬に内腿が触れ、その些細な感触が全身を貫く快感。数度も繰り返されて、気絶しそうなほど。でも、やっぱりそれも呼び水。イチモツの焦燥感を煽る。
「やらしー、こんなに濡らして」
「同じ状態であろう、おぬしも」
内腿を擽りあって焦らし責めしてる。もっと焦らされている俺が下から息を掛けると、身を揺する。
「うふんっ……」
「んはぁっ」
白いショーツの下に指が潜り込む。黒いショーツの上からクレヴァスをなぞり始める。湿りを増して行くのが見える。くちゅくちゅ水音がしてる。
血が吼え哮って、意味もなく手を握ったり開いたり、足首をぐるぐる回したり、腰を捻ったり、頭をぶんぶん振ったり、虫に集られでもしてるみたいに暴れる。届かないと判ってて尚、自分のものに手を伸ばす。
やっぱり鎖がじゃらじゃら鳴るだけ。
紐を引いて脱がされたショーツが顔に落ちて、湿りけと匂いで頭の中を蹂躙する。貧血で死にそう。そうでなきゃ脳溢血。向き合った二つのヴァギナは、脚を開いているだけ中の肉まで見せつけている。そこに指が沈んでいく。どっちがアルクェイドだか、朱い月はどっちだか。
「がるるるるっ……」
ショーツは退けられて、代わりに指が鼻先を撫でた。今しがた蜜壺から出てきた指に愛液を塗りつけられて、思い切り嗅がされて、過換気しそう。金色の茂みの奥の泉に指が潜り込み、ぐちゅぐちゅと責めてる。淡い色の肉襞が蠢く。変形する。指を呑み込んでる。
「んっ、ぁんっ、そこっ……だ……」
「あふっ、それ、好き……」
「が〜〜〜〜っ!」
がちゃがちゃ暴れても鎖は緩まず、甘い清水の雫は落ちてくるけど触れさせて貰えず、痛いほど張り詰めているペニスはまるっきり放置。なのに快楽の洞を探る指のピストン運動を見せつけられ続けてる。
あの指の代わりに突っ込みたい。せめて代わって欲しい、いや、あの指になりたいっ!
「がるるるるっ」
指の動きのペースが上がる。
「んっ、あんっ、くぅっ」
「はふんっ、ふっうっ……」
二人の声も上がる。
あんまり目に毒だから瞑ってみるけど、瞼に焼き付くってこのことか。耳は塞げないから妄想は止まない。あそこの柔らかさも締まり具合も襞々もぬめりも熱さも動きも知ってて、今さら忘れたりなんてできない。快楽に餓えて死にそう。
もう、許して。ごめんなさい。私は間違ったことをしました。
「んぁふぅ、はふん……」
「ぁんっ、しき……っ」
懺悔しても、かみさまも何も聞き入れてくれない。二人はますます高まっていく。複雑な形の器官が向き合い、弄り回され、指をくわえ込み、雫を垂らしている。もう一本、手が伸びてきて、くいっとお尻の谷間を開ける。
「やんっ……志貴、そんなとこ見ちゃだめぇっ」
アルクェイドの声で余計に注視してしまい、谷の奥の窄まりがびくびくと蠢くのまで目に入る。
「そっちも、見せな、さいっ」
「ふふっ……」
少し動いて、もう一人のお尻も見せられた。確か、こっちが朱い月。お尻の穴まで弄り始めて、途端にまた、媚声があがる。
がるるるるる……。
「困ったやつ、女の尻の穴に、興奮するっなど……」
「変態なんだから……んっ」
二人とも、前後に指が入り込んで抜き差しされてる。水音を立てて抉っている。ぜいぜいと苦しげな音は、自分の喉が出していた。
「ほら、先に……」
「んんんっ、ふぁうぅ……」
聞き慣れてる、逝く間際のアルクェイドの歌声。朱い月の喘ぎ。いっしょに耳にしていると魂が抜けそう。するする耳の穴から侵入して脳髄まで侵される。何の刺激も貰えないのにイチモツが脈打ってる。
「せめて、手を自由にして……」
自分のことは自分で面倒見るからっ。
「駄目だ、観念せい」
鬼。
悪魔。
吸血鬼。
魑魅魍魎。
「んぁあぁっ!」
「んくっ、ん……」
鎖を引っ張りすぎて、手首が痛む。いっそ、想像するだけで逝けないものか。アルクェイドと朱い月とに代わる代わる突っ込んでるとか考えてみる。二人が抱き合ってるところへ、あっちに突いたり、こっちに突いたり。二人とも、自分に入れて貰うとねだったりして。
「はふ……」
頭に登る血と息子に集まる血が更に増えただけ。余計に餓えただけ。
血涙を零す俺を余所に、二人は歓喜する。顔の上に、愛液の雨。片時も指を止めないまま、腰を押し付け合う。
「んんんんんっ!」
「あああああっ!」
絶頂のハーモニー。指が緩慢になり、やがて止まる。性器から離れた手が顔を撫でて、熱い蜜を拭き取る。口に指を入れられたら、必死でしゃぶってしまう。歯茎や上顎なんか探られて、異様に官能だった。
「さて、どうしたものであろうな、今度は」
指も、そう長くは舐めさせてもらえず、また次の算段を始めている。
「許してっ……」
懇願するけど、聞いちゃいない。
「そうね……」
何か話していたけど、また顔の傍で揺れるバストが気になって、俺も聞いていなかった。次のことが決まったときも気付かなかったらしく、ぐるんっていきなり俯かされた。気を付けの姿勢で鎖で水平に吊られて、橦木にでもされたみたいだ。
そして釣鐘の代わりに、お尻が突き出される。仰向けで脚を揃えて抱えた格好で、ストッキングの白いのは朱い月だっけ。まん丸いお尻が顔に触れるほど近づいて、予想通り触れてはくれない。頬ずりすると恥ずかしがって身悶えるが楽しくて、スベスベでフカフカで気持ち良いんだ、このお尻……。
アルクェイドにお尻を叩かれて、朱い月はM字型に脚を開いた。ご開帳を受けてご神体は拝めるけど、やっぱり満願は叶わず生殺し。舌を突きだしても届かず、顔を揺すっても内腿に掠めたりはできず、詮無きあがきと判って尚、座して耐えるばかりとはいかず。
体にくっつけられた手を動かしても、腫れ上がって苦しむ我が息子には一寸ほど届かない。
「ふふふ……」
アルクェイドが、こっちを向いて朱い月に覆い被さる。
「志貴の見たいところ、ほとんど全部見えるね」
少し目を上げればアルクェイドのおっぱいが見えて、その更に上には当然、顔。うつむけば、ヴァギナとお尻。そっぽ向うにも太腿があったりして、逃げ場など無い、ここが俺の終焉の地って感じ。
「ほら、もっと良く見て」
アルクェイドが朱い月の大事なトコを惜しみなく開く。
金色の下毛は濡れて、肉色の谷間は、ぬめり光っている。小さく脈打つように動いている。アルクェイドが更に指を添えてクリトリスを露わにすると、朱い月が身じろぐ。
「んっ……ふぅんっ」
急に、アルクェイドが甘い息を吐いた。顔を上げたら、視線を合わせてくる眼には官能が弾けている。
「あんっ……うふ、それ、好き……ぁあっ」
快感を甘受してる。朱い月に責められてるんだ。
気持ちよさそうなアルクェイドが羨ましくて、そうさせている朱い月が妬ましい。
「ふふ、わたし今こんな風にされてるんだよ、志貴」
言って、アルクェイドは中指と薬指を膣に突き入れた。
「んっ」
朱い月が向うで声を上げる。目の前で、アルクェイドの受け手いる愛撫を再現して見せつけられる。ぐりぐりと、ちょうどGスポットを探ってるんだと判る。アルクェイドの感じっぷりからも判る。愛液が泡立って、時々顔に跳んでくる。
「ふあぁぁあぁっ」
もう、血が無くなるほど血涙した気分。でもまだ、終わらない。涎を飲み続けているのに喉はひび割れるほど渇いている。
アルクェイドが顔を下げ、クリトリスに口付ける。舌先でつつく。転がす。びくんびくんって、朱い月の脚もアルクェイドの頭も揺れる。
「志貴も、したい? して欲しい?」
がくがくと機械仕掛けみたいに首を縦に振る。
「駄目、お預けっ」
鬼ーっ!
悪魔ーっ!
吸血鬼ーっ!
魑魅魍魎ーっ!
奈落大魔王ーっ!
「ふぅぅんっ、あふン……」
感じすぎてアルクェイドは時々クンニが続けられなくなり、でもそれは朱い月も同じみたいで、フィードバックというのかむしろハウリングか。暴れて時たま内腿が顔にあたるのが、またやっぱり掻痒地獄に火を注ぐだけ。
力が入りすぎて、虚しく動かす手首が痛い。手錠にこすれて血が出てそう。手を切れば届くなら切ってしまいたい。鬱血したペニスが腐り落ちてないかって怖くなる。
「んんっ、やんっ……」
アルクェイドがおかしな声を発し、ためらいがちに片手を下からお尻に当てる。垂れ落ちた蜜でずぶ濡れのお尻の谷間に指が届き、ゆっくり、穴に侵入する。
ちょっと焦ったような戸惑ったような表情、不安と期待の顔。ああ、アルクェイドのお尻にイタズラしたときは、こんな顔してた。
五ミリほど届かない場所で、アルクェイドの指と舌と唇に可愛がられて、朱い月がお尻とヴァギナをトロトロにしてる。その朱い月は、同じようにアルクェイドをメロメロにしてる。自分がしているなら楽しくて気持ち良くて幸せできっと至高天。ただ見せつけられてる今は凍結地獄。きっと地獄は天国の隣にある。
「んっ……ひゃふっ……ふぁうぅっ! ふぁあーっ」
「くぅっ、んはぁ……ひゅぅんっ、ひあぁ……」
二人の美しき魔王は、楽園の歌声でハーモニーしながら昇天した。朱い月が潮吹きして、顔に液を掛けられた。アルクェイドが笑いながら、俺の鼻の頭をペロリと舐めた。
やっぱり俺はまだ、ひたすらにお預けを喰っているまま。
「さて、いいかげん、許してやっても良いがな?」
「んー、どうしよう?」
もう、懇願する気力も無くして、次なるお沙汰を待っている。
「そうだな……入れさせてやろうではないか。但し……」
また、ぐるんって回って上を向かされた。
朱い月が、俺の腰に跨る。天を衝いてそびえるイチモツのすぐ向うに、朱い月の下腹部がある。
「選ばせてやろう。入れても何にも感じないのと、感覚はあるが逝けないのと、どちらが良い?」
……。
鬼……。
悪魔……。
吸血鬼……。
魑魅魍魎……。
奈落大魔王……。
暗黒邪神皇帝……。
わけの判らない言葉が頭の中で渦巻いた。
◇
――――ふと、目を覚ます。
窓からの仄明るい月光の中、俺の部屋の天井が見えた。
もの凄い夢を見たことは覚えている。
――ふふふ……反省した?
――思い知ったか、この浮気者っ。
――ふふ……なら、よい。よく耐えた褒美は取らせても良いぞ?
――うん、今度こそ、二人で気持ちいいことしてあげる。
……その台詞は記憶にあるけど、気持ちいいことの内容を覚えてない。
いや、たぶん、そこで目が覚めた。その証拠に、臍の下でイチモツが反っくり返っているのに気付く。
「……眠れん」
触っても感じないとかってことが無かったのは、幸いと言うべきなのか。
【おしまい】
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